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「損得」から「好き嫌い」の時代へ

はじめて不動産を購入したのが23歳。陽当たりの悪い小さなワンル
ームマンションからはじまり、自宅マンションから一戸建てまで、
会社で購入した不動産を含めるとすぐには思い出せないほど、不動
産売買を経験してきました。

そんな少しだけ経験が多い私が最近しみじみ感じていることがあり
ます。それを今回はお話してみようと思います。

不動産業に携わってかれこれ19年。バブルという未曾有の経験を経
てきた私にとってこの19年はまさにジェットコースターのような19
年でした。

なぜなら不動産購入に関する意識が180度変わってしまったからです。

19年前の私といえば、とにかくデータ、データ、データの人間でし
た。はじめて購入したのが投資用のワンルームマンションというこ
とからもわかるように、徹底的にデータを集めて分析する、そんな
タイプの人間でした。

勉強することは嫌いではありません。特に自分が興味を持ったものは
なおさら。徹底的にやるタイプです。ですから不動産売買についても
データを重視してやってきました。

「ここは最近いくらで取引されているから、妥当な価格は○○○○万
円だろう。それ以上で買うやつはどうかしている。」

特に建売業者やマンション買取業者が自分が思っている価格以上で購
入していこうものなら「バカじゃないの...」そんな目で見ていたもの
です。

しかし、バブルの崩壊を経験し、現在のような景気の低迷を長く経験
してくるとこのデータというものがいかにあてにならないものか、と
いうことがわかってきたのです。

「不動産は今が底値だ!」とか
「場所によっては値上がりが始まっている!」

などという言葉はもう耳にタコができるくらい聞きました。
しかしどれもウソばかり。一向に底値を打つ気配も、値上がりする気
配もありません。

私が信頼しているコンサルタントによれば、今後30年から50年は景気
は回復しないだろうといわれています。(この件については諸説あり
ますので判断はお任せしますが)実際、不動産売買の現場にいるもの
としては信じざるを得ないと感じることも多々あります。

私なりの率直な意見を言えば、これからの10年から20年は不動産は値
下がりすることはあっても値上がりすることはないのでは?と思って
います。

ですから不動産をキャピタルゲインの投資の対象としてみる方、簡単
にいえば、不動産に値上がりを期待している方や、将来の売却損を気
にする方は購入は控えたほうがいいと思います。

データ重視で不動産取引きをしてきた私は、ここ数年その考え方を変
えざるを得ない局面に何度も遭遇してきました。投資物件はともかく、
マイホームの選び方に関してはその考え方は180度変わりました。

正直、今の私はマイホームはデータでは選びません。

マイホームに関してはその物件が好きか、嫌いか、という感情的な判
断で選びます。

価格が高くても好きな物件(ワクワクするような、楽しい生活がイメ
ージできる家)で予算内であれば迷わず購入するでしょう。

しかし、いくら相場より安い物件でも、ワクワクしないような物件で
あれば購入しないでしょう。

高いとか安いとか、損したとか得したとか、そんなことがうれしいの
はほんの数ヶ月です。(へたをすると1ヶ月持たないかもしれません)
もし、その後に自分の家より条件のいい家がもっと安い価格で販売さ
れでもしたら、それこそ後悔の日々が襲ってきます。

「何でこんな家を買ってしまったんだろう...」 
「失敗した、損した...」そんな言葉が頭の中を駆け巡ることでしょう。

長く経済が低迷している時代です。出口が見えない時代です。
買った家の資産価値が下がることは当然の時代です。

だからこそ、損得ではなく好き嫌いで家を選んでみてはいかがでしょ
う。何故なら、好きで選んだ家はたとえ資産価値が下がったとしても
かわいいからです。

10年、20年と住む家です。家族の思い出を刻む家です。
好き嫌いで選ぶのも悪くないと思いませんか。